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印刷業界も他の業界と同様に市場規模が縮小しています。
さらにデータを調べると競争過多でもあります。
そして、印刷業界にはもう一つ特徴的な事実があります。
それは印刷会社側では
「ウチはここだけは他の印刷会社に負けない」
と思っていても、一般にお客さんからは
「どこの印刷会社もだいたい同じように見えている」
ということです。
つまり、印刷会社は差別化が極めて難しい業種だと言うことです。
そのため次のような取引先担当者の言葉を聞くことが多くなります。
「印刷会社は安く、きめられた納期を守ってくれさえすればいい。品質はどの会社でも同じ。」
また、今までの業界の仕事の受注形態が提案型ではなく、「受け身」での仕事の受注が多かったため、どうしても「下請け」という見方をされることが多くなります。こちらから付加価値を付けるために、いろいろと提案をしようとしても話を聞いてもらえないこともしばしばです。
同じ内容を提案してもお客さんは代理店や企画会社の言うことはよく聞きます。そして、高い見積もりにも文句は言いません。でも、下請けと見なされている印刷会社の場合には次のような言葉を聞くことになります。
「どこに出したっていいんですよ。安ければ。」
このように、(1)市場が縮小し、(2)競合が多く、(3)商品の差別化が難しく、さらに(4)付加価値を付けにくく、(5)今までの受注形態が「受け身」「下請け」的なポジショニングをとっていたためいため、その結果として当然「価格競争」が起きやすい状態になっています。
だから、先に述べたように
「印刷会社は安く、きめられた納期を守ってくれさえすればいい。品質はどの会社でも同じ。
どこに出したっていいんですよ。安ければ。」
と言われることが多くなり、相見積もり(あいみつもり)や値下げの交渉が日常的に行われているわけです。
そして、仕事を受注しようとするとお客さんからは厳しいコストダウンの要求が出てきますが、印刷業界はクライアント毎に規格やサイズ、内容の異なる商品を製造しているため、規格品の大量生産といったビジネスモデルを構築することができません。さらに印刷工程での作業量や人的負担が大きくなりますが、そのコストをクライアントに請求するのは厳しいのが現状です。
また、製紙会社から供給される紙の価格も不安定になりがちで、印刷会社はなかなか利益を出しにくい構造になってきています。
このことを裏付けるように「TKC経営指標 2009年度」によると印刷会社の黒字企業割合は30%にとどまっており、印刷会社10社のうち7社は赤字企業であるというデータが出ています。
市場が縮小し、競合が多く、商品の差別化が難しく、現状でも赤字企業が7割以上を占める印刷業界ではこれから他業界と同様に利益の出る会社と利益の出ない会社の2極化がますます加速することは容易に予想できます。
そのためこれからは他社との差別化ができていて、発注者から『印刷はあの印刷会社のあの担当者にお願いする。』と指名され続けなくては生き残れない時代に突入することは明らかです。
印刷会社の経営者の方で、この続きを読む方はこちらへ。
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